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![]() ■12 「何と書いてあるでござるか、アリア殿」 「えーとね」 『この手紙を受け取った者へ』 「おお、ひょっとして」 「待って、続きを読んでみるわ」 『はじめに、私が何者かを書き記しておく。私の名はレベイド。オルウェンの村の癒し手だ。 私はもう長くない。とりあえず、このフロストにオルウェン付近の峠に降ろしてくれる様に頼んだが、どこまで通じているのかは怪しい。しかしもう他に頼れる者はいないのだ。 私は、このヒララギ山に薬草を採集しに来た際に、どうやら町の外からやって来たイルドー達チンピラに、後を付けられていたらしい。彼らは癒し手以外踏み入る事を許されていない場所に踏み入ったばかりか、稼ぎの糧と称して貴重な薬草の苗を摘んでしまった。 私は当然彼らに抗議したが、彼らはそれを聞き入れなかった。あろうことか、私を殺そうとして来たのだ。 今、私は深手を負っている。この洞窟から出て、果たしてどこまで体力が持つかは疑問だが、このフロストに賭けるしかない。 目が霞んで来たのでペンを置く。もう一度会いたい、ダレイド、レベッカ』 「記述はここで終わっているわ」 「フロストはこの手紙を人間達に届けようとしていたのでござるな」 ![]() |