■11

 ジンの話を聞いてみると、意外な事が分かった。
 アリア達冒険者と依頼人ダレイドを掘り出し、洞窟まで運んでくれたのは、このフロストだったのだそうだ。
 「そうなの。じゃあ、何かお礼しなきゃね」
 「うぉー、うぉうぉうぉっ、うぉうぉうぉうぉ」
 「別に良い、当然の事をしたまでだ、と言っているでござる」
 「ジン、貴方、言葉分かるの?」
 「いや、拙者も身振り手振りで交流を図っているだけでござる。でも、何となく言いたい事は伝わって来るでござるよ」
 「うぉー」
 「フロスト殿は、拙者達に何かを伝えたがっている様なのでござるが・・・細かい話の様で、何を言っているのかは拙者にもさっぱりわからぬ故、困っておるのでござる。しきりにダレイド殿を指差すのでござるが」
 「ダレイドさんを? あ、て言うか、ダレイドさんのお父さんを殺したって聞いてたけど」
 「どうもそれ、誤解の様でござるよ」
 拙者にはこ奴に人間を殺せるとは思えない、とジン。
 「じゃあ、一体誰が何の為に?」
 フロストに目をやるアリア。・・・フロストは洞窟の奥から何かを持って来た。

 それは、古ぼけた一通の手紙だった。




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